床下収納の大罪は「冷気」である。産婦人科医と話をすると、彼らはたいていこう言う。「床下収納?ああ、あれはいけないね。隙間風が入るだろう。女性の身体には、足元から冷風が吹くのがいちばんいけないんだ」はっきりした統計として表れるものではないが、床下収納からの冷気が原因で身体が冷え、婦人病になったり、胎児が危険な状態になったりするケースはかなりあるという。同じキッチンで言えば、吊り戸棚も問題だ。デッドスペースを利用するという意味ではたいへんすぐれているように思えるが、現実に、背の低い女性があの吊り戸棚から大きな鍋や大皿を出し入れするのはたいへんな作業である。
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いちいち踏み台を出すのも面倒だし、踏み台に乗った不安定な状態で高い棚に手をのばすのも危険だ。ちょっとバランスを崩せば、土鍋ごと床に倒れて大ケガをすることもある。ところが、男には妻の苦労がわからない。とくに、背の高い男性にはわからない。身長が20センチ違えば、自然に手の届く高さ、無理なくモノを出し入れできる範囲がどのくらい違ってくるかがまったくわからない。男の考える「合理性」と、女性にとってほんとうに合理的であるかどうかは別問題なのである。夫と比べて在宅時間が長く、家事や育児など日々の活動のほとんどを家でこなす主婦の動きやすさを軽視しては、いい家はつくれない。たまに口を出して男の論理ばかりを主張するようでは、家の何たるかを真剣に考えていないのと同じである。ついでに言えば、そういう亭主にかぎって、1度物をしまい込んだら2度と出すことができない「屋根裏収納」なども気に入ってつくってしまうものだ。