狭い家で核家族化を強制

2011.11.19

狭い家で核家族化を強制し、老人がいっしょにいることで困難になる移動をやりやすくする、それによって高度成長に必要な労働力を確保する、これが一九六〇、七〇年代のわが国の住居の姿であった。そして、貧しい住宅事情や引越しから生じる“うつ状態”は、日本人をいつも何かしていないと落ち着かない不安定人間化し、それがまた高度成長に都合のよい人間にしてしまったとも考えられる。そして、都市集中の結果郊外地域に住宅団地が生まれ、農村からの根こそぎ移住もあって、そこからまた“うつ状態”が生まれるという悪循環の状況をひき起こしているのである。

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長年住みついて人間関係もできあがっているところから出なくてはならないのが“引越しうつ病”であるが、逆にはじめから転々としている場合は根づくところがないから、一種の慣れができてくる。しかし、たえず移転しているために近隣社会とのつながりがないということは、不安定な人間になる一つの要素になっている。狭いアパートに住むものは、ここにいつまでも永住しようと思わない。いま住んでいる家は仮の宿りにすぎない。