不動産の取引に関与する者としては、初歩中の初歩の知識であるが、まず手始めに「不動産」について整理しておこう。一般に物といわれているもの、すなわちむずかしくいえば有体物(形と体積があって空間を占めるもの)は、法的には「動産」と「不動産」の二つに大別されるのは誰でも知っているだろう。ところでそのうちの一方の「動産」とはなにかを見てみると、法は不動産以外の物が動産だ、と定めている(民法八六条二項)。つまり物のうちまず不動産が基準となり、それに当たらない物は「動産」としているのである。
[参考]
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その基準となるべき「不動産」について、どう定めているのかといえば、「土地及ヒ共(その)定著物(ていちゃくぶつ)」としている(一項)。このうち「定著(着)物」とは、土地に固定的に附着して簡単には移動し得ない物で、継続的にその附着の状態で使用されるものをいう。したがって簡単に移動できるもの、例えば仮小屋、公衆電話ボックスや仮植中の樹木はこれに当たらない。土地のほうは常識上は簡単である。地面、つまり地表のことである。以上をみると、不動産とは、法的にも簡明なものであって、実務上も大して注意を要するものではないように思える。現にそう思っていまさら不動産について考えてみたりしている人は少ない。